メッキは金属などの表面に別の金属で薄膜を作ることにより、さまざまな機能を追加する表面加工技術のなかで、水溶液中で化学反応を基本原理とする「湿式法」のことです。
湿式法には、電気メッキと無電解メッキ、置換メッキがあります。装飾用途のメッキは艶のコントロールが可能な電気めっきを主に用いています。
金属皮膜を生成する方法は他にいくつかあります。古来から行われている方法に焼成法があります。また、水溶液を使用しない「乾式法」として真空を利用した真空蒸着やスパッタリングが開発されました。 奈良の大仏にも使われ、金を水銀に溶かしたアマルガムを製品に塗り、加熱することで、水銀を蒸発させ、金のみを表面に残す方法です。水銀に金が溶けるので、”滅金”(めっきん)といったり、アマルガムを塗ることから”鍍金”(ときん)と称したりしました。つまりメッキは日本語で”めっき”と表記してもかまいません。
日本で最初に電気めっきを行ったのは、薩摩藩の第11代藩主、島津薩摩守斉彬(なりあきら)公で、武具に金・銀メッキを施したそうです。
きれいな電気メッキを行うためには、製品表面が清浄でなければなりません。
製品がこの段階まで来るためにはさまざまな加工が行われ、さまざまな”汚れ”が付着します。
そのため、まず、バレル研磨等で物理的に表面を研磨します。
また、メッキをつや消しに仕上げるために、小さな砂粒を製品に吹き付けるサンドブラストや、目の細かい紙やすりで表面を磨くペーパーサテーナなどの処理を前もって行います。
その後、化学的あるいは電気化学的に表面をきれいにします。
この後、やっとメッキ工程に移ることが出来ます。
古来より、その輝きをいつまでも失わず、酸などにも腐食されない性質から、装飾品には欠かせないメッキです。
純金はとても柔らかく傷つきやすいのでそのまま利用することは少なく、さまざまな金属を添加して合金として使用します。
合金とすることで、金の色調をさまざまに変化させることが出来ます。
ホワイトゴールドメッキは、金にニッケルや錫を加えることにより、白さを加えて行います。
色仕上げを目的とする場合は、フラッシュメッキと呼ばれる、厚みを(1/1000mm=1ミクロン)以下とした金メッキを利用します。
使い込むと徐々に金メッキ層が擦り取られ、下地が透けてくることがあります。耐久性を持たせるためにも、クリア樹脂の焼付け塗装を施すことをお薦めしています。
銅を基本とした合金メッキを総称して金色メッキと呼びますが、
Bプラは銅-亜鉛の合金である真鍮色で、黄色の色調です。
銅色に部分的に黒味を帯びた色調です。長年使い込まれた風合いを出すことが出来る、特殊なメッキです。
まず最初に、素材に真鍮や銅メッキをします。この上に黒色の皮膜を作るため、硫化物に浸漬したり、黒ニッケルメッキを施したりします。
黒くなった製品を、ナイロンたわしでこすって黒い皮膜を部分的にはがします。製品の凹部は黒く残り、凸部は銅の下地が表れます。黒い皮膜のはがし具合は非常に微妙で、仕上がりが職人の勘と経験に左右されます。
平らな凹凸の少ないものは、ヘアライン加工と呼ばれる方法で仕上げることもあります。
ナイロンたわしの剥がし目を直線的に付け細かい筋を無数に入れます。
下地に真鍮を使いゴールド調となります。
なお、銅を使うと、ブロンズ調の仕上げとなります。
メッキに傷をつけ、また、下地が露出することから表面は大変酸化されやすく、必ずクリアー塗装を行ってメッキを保護します。
電気メッキの基本原理
電気メッキは、中学校の理科で体験した電気分解と電池反応が基礎になっています。たとえばニッケルメッキで説明します。